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お互いにずっと待ってた恋

中学生の頃、10歳年上の大学生のお兄さんに家庭教師をしてもらっていました。子供があまり多くいない地域に住んでいたので、そのお兄さんは幼い頃から近所で仲良くしてくれていた方でした。昔から、好きだったといえば好きだったんだと思います。けれど、それを意識するには私はあまりに幼くて、漠然と「好きだ」と思って接していました。お兄さんが大学を卒業して、家庭教師も終わりました。社会人になってからも、電話やメールをして勉強を教えてもらったり、相談に乗ってもらうことはあって、成長するにつれ私はやっぱり彼のことが好きなんだな、という確信を持ち始めました。
でも、私が中学を卒業しようという頃、お兄さんは海外への転勤が決まってしまいました。しばらく会えないことがはっきり分かったその時、中学を卒業する前に一度会いたいとお兄さんに連絡をし、一日遊んでもらうことに。恋愛についての知識とか、ある程度のことはマンガやドラマで知っていたので、きちんと距離を取ってくれているお兄さんに対して私は必死で、拙いアピールをしました。手を繋いでもらおうとしたり、腕を組もうとしたり…。お兄さんはそれを拒みはしませんでしたが、かといって喜んで受け入れるでもなく、困ったように笑うばかりでした。
夜八時頃、もう遅いからと家に送ってくれようとした時、私は…今考えると、馬鹿だなあと思いますが、「まだ帰りたくない」と、「どこかに泊まろう」と言いました。お兄さんはそれを聞いて、足を止めて、私の目をじっと見ました。
「ほんとは、君の気持ちを分かってるんだよ」と、頭を撫でてくれました。それから、「だけど今は言わないで。俺はしばらく君に会えなくなるから」と言って、「自分を大事にしないとだめだ」と怒られました。真面目すぎるほど真面目な人でしたが、そうでなくても中学生に手を出すなんて普通に考えてできるわけもないですよね。当時は「融通がきかない人だ」とちょっと残念に思っていましたが、当たり前といえば当たり前です。
「もし俺が帰ってきても今と同じ気持ちだったら、また声をかけて」と最後に伝えて、彼とその場は別れました。時々帰ってきたものの、結局きちんと日本に帰ってきたのはそれから8年もあとでした。
勿論、会いに行きました。そして、思いを伝えました。彼は私がおとなになるまで待っててくれて、私は彼が帰ってくるまでずっと待ってて。何年も掛かる小さな恋ですが、待った分思いは大きく膨らんでいました。彼以外との恋愛経験はゼロですが、たった1つの恋が素敵なものであったから、幸せだと思っています。